勇気と想像力、そして少々のお金

きれいごとを言わない、をモットーにしてますが、時折言ってます。

恩師の定年退職

最後の挨拶で、その恩師は途中声を詰まらせて泣いた。僕も泣いたしみんな泣いた。
社会人2年目の24歳の僕は、当時52歳の恩師と出会った。ある異動で同じ部署の課長としてきたのがその恩師だった。その人柄にほだされた僕は迷わず自身の進路を相談し、退職を決め、愛知県のある会社に赴いた。そのすべてを準備してくれたのが恩師だった。この業界で残るか去るかを早々に決めようとしていた僕の背中をやさしく押してくれた。
それから僕は、折に触れて手紙を書いた。愛知からも大分に戻ってからも、ただその恩師への感謝をつづった。感謝の言葉は、本当に必要な時には出てこないから。
あれから8年経った。
今月いっぱいで定年退職との連絡を当時の先輩からもらい、迷わずその送別会の参加をきめた。そしてまた手紙を書いた。泣けてきた。
参加した僕を含めて、社内で変わらずがんばっている人たちも、転職し違うフィールドでがんばっている人たちも、この人のためならとはるばる駆けつけた。気が付けば40人ほどになっていた。
その恩師は、関わる後輩たちを褒め続け、最後まで自分の自慢話をしなかった。誰が聞いても自慢できる過去を持っているのに。語りたいことは他人に譲る。そんな謙虚な人なのだ。
この人がいると、自然と人と人が繋がる。縁が円を成す。
そんな恩師の、これからの人生が益々楽しく愉快でありますように。
31年間、本当にお疲れ様でした。