勇気と想像力、そして少々のお金

きれいごとを言わない、をモットーにしてますが、時折言ってます。

立ち読みが止まらなくなる本

村上春樹の「東京奇譚集」が、やっと単行本になっていたので(気づくのが遅かったのか?)、先日の茂木さんの「思考の補助線」と一緒に購入し、こちらから手に取り読んでいたら、どうも読んだことがあるのだ。

東京奇譚集 (新潮文庫)

東京奇譚集 (新潮文庫)


たぶん、ずいぶん前に本屋で立ち読みをしていたのだろう。それしか考えられない。それもずいぶん長時間の立ち読みだったはず。なぜなら、2話まで知っていたから。(全5話)
いつの頃かもわからないけど、心当たりの本屋はあるので間違いない。
でも、立ち読みでここまで知っている本も珍しい。
ただ、長時間の立ち読みに‘なるほど’と合点がいったのは、まず、この本は、のっけから村上春樹が「この話は物語じゃないんです・・・」と村上春樹が急に語りだす構成を取っている。
で、1話目の内容は、とてもスマートなピアノ調律師の男が、お気に入りの喫茶店でディケンズの小説を読んでいたら、同じ本を偶然読んでいた女性に声をかけられて・・・。という様な、僕が学生時代によく抱いていた様な妄想を(あくまで思春期の妄想です)、でも現実にはまずありえない事実がストーリーのベースとなっている。でも、その男はゲイで・・・。
この手の内容を村上春樹に書かせたら、もう先を知りたくなってうずうずしちゃう。まったく。
あの時本屋で、この本を手に取って開いた時点で、立ち読みが途中で終わらなくなる事は、今考えれば疑いようの無い事実だったのだ。
いろんな意味を込めて、この本は買ってよかった。