勇気と想像力、そして少々のお金

きれいごとを言わない、をモットーにしてますが、時折言ってます。

サニーデイ・サービス、再結成、10年ぶりのアルバム

「なんたって名前がいいよな、サニーデイ・サービスって」
デビューしたてのサニーデイ・サービスを勧めてくれたのはタクだった。お互い18か19歳、僕は九州から、タクは北海道から上京し、いずれ大学生活の軸になっていく(軟弱な)山岳サークルで知り合い、方言のアクセントをけなし合い、「こいつ文章は平易なくせにアクが強いんだよな」と村上春樹を評して一緒にどっぷりはまり、まさにそれぞれを「鼠と僕」*1に投影し、遠距離恋愛をし、人生に一人勝手に絶望し、大学よりも多摩川の土手に通いながら、なにかと騒がしい思春期終盤のもの悲しい時期だったと思う。
あまり褒めたくもないけれど、とにかく音楽センスの良かったタクは「これ、いいんだよ」といつも僕に何かを持ってきてくれた。「ちょっと聴いてみろよ、かっこいいから」と。その一つがサニーデイ・サービスだった。

東京

東京


部屋の手の届く場所にはいつもこのアルバム「東京」があった。絶対音感のあるタクは、このタイトル曲でもある東京をすぐに耳コピーして、僕が挫折し部屋のインテリアに成りすましたアコギを抱え上手に弾いていた。羨ましかった。
サニーデイにまつわる物語、というかサニーデイが出すアルバムごとに、そのパッケージに当時の色んな思い出がくっついている。そんなサニーデイのアルバムが出る。

サニーデイ・サービス web」

http://d.hatena.ne.jp/sunny_day_service/
4月21日リリース「本日は晴天なり」

独占インタビューで曽我部が語る言葉がぐっとくる。

バンドって、青春の、期間が限定された幻のような瞬間。
楽しいし、お金もほしいし、有名にもなりたいし……
最初のつながりがあやふやだったぶん、
みんななるべくして離れていくんだと思うよ。

解散後ソロになり、自分でレーベルを立ち上げ下北を中心に活動する曽我部恵一が、またやってくれることのありがたみを噛み締めています。もう純粋に嬉しい。僕はあのドリフを見たいのであって志村やカトちゃんを見たいのではないのだ、つまりそういうことだ。
あれから15年経ち、簡単に恋にも落ちなくなった。でも、きっと何も変わっていない。


「恋に落ちたら」

*1:村上春樹の話をここでするたびにid:hayakarさんの絶妙なエントリー(http://d.hatena.ne.jp/hayakar/20071107/1194455118)を思い出す。これを初めて読んだ時、そりゃあ嬉しかったなぁ。