勇気と想像力、そして少々のお金

きれいごとを言わない、をモットーにしてますが、時折言ってます。

早川さんのこと

尊敬できる酩酊仲間でもあった早川(id:hayakar)さんのことについて。やはり、書いておくべきだと思うので。
昨年の12月15日、東京で会った。
仕事の絡みもあり上京していた僕は金城さんの主催するわいわい東京に参加するつもりでいて、どこかのエントリの際に「早川さんも来ればいいのに」とブログのコメント欄で誘った。その数ヶ月前の6月の上京の際、一緒に飲みましょうとメールでやり取りしていたんだけれど、早川さんの都合がつかず、流れていたのもあって、また、体調が優れないのを知っていたので期待はしてなかったけれど、僕のとても適当でいい加減な心配心から、来て欲しいなと願っていた。その誘ったことすら忘れて飲んでいた20時辺り。早川さんはその新宿の店に来てくれた。緑の上着に身を包みのそりと現れ、凄く硬い表情でこちらに近寄ってきて、にやぁと笑い、「いやぁ来たよ」とそれは小さな声で、ぼそりと言った。「うおー」と僕は言い、それまで歓談していた周りのみんなはちょっと戸惑ったようなおかしな空気になって、それはすぐにもとに戻っていくんだけれど、そんなことかまわずに「体調どうなの」と腕を触ったら、「もうアソコは立たないけどなぁ、へへへ」と妙なシモネタを言ってきて、その声があまりにも小さく聞こえなかったので「え、え?」とその面白くないシモネタを2度言わしたあと、そういうことかと僕も合点がいき、「何言ってんだ」とやり過ごしたけれど、その、声の小ささと、小刻みに震えているその姿に、正直僕はびっくりして、本音を言えば、体調的にとても大丈夫な状況ではないんじゃないかと思った。本当に。そして、僕がそう思っていることを出しちゃいけないと思った。必死に。
その時立ち飲みのテーブルに何人いただろう、8人から多いときで10人ぐらいかな。僕が「さっき中山さん来てたんだよ」と言ったのを覚えているから、それぐらいだと思う。それからは、徐々に空気に慣れていこうとする早川さんと、ずっと二人で向かい合って話をした。驚くほど声が小さく、ずっと耳を傾けて話をした。仕事がうまくいっていないこと、体調不良が実に辛かったこと、川本三郎のこと、親のこと。もっと思い出したいけど、今覚えているのはこんなもんだ。僕は、早川さんはこんな場で、みんなでわいわい話す人ではないのに、なんで来てくれたんだろうと不思議に思いながら、誘った責任と、来てくれた嬉しさと、その何十倍の不安でいっぱいだった。でも、飲むにつれ、僕の心配が徐々に無くなって行くほど、前に会ったときの早川さんに戻っていった。
11時前にわいわいは解散し、本当に久しぶりの比嘉ちゃんと少し話したいとも思ったけれど、ぐらぐら揺れる優先順位の中、僕と、その日初めてわいわいに参加した大学の後輩ひっちゃんと、早川さんの3人で居酒屋に入った。ひっちゃんは、そこで終電までの数十分をすごし、早川さんの独特の言い回しと、衣装へのこだわり(お洒落なのだ)に興味を持ち、僕もそれを嬉しく思って、もっと居てくれればいいのにと思ったけれどもひっちゃんは帰り、2人になった。
その後、ホッピーやらハイボールやらをガバガバ飲んで、チェーン店ならではの不味いつまみを食べ、とつとつと、思いつくままに話をした。僕は、もう、この新宿のすぐ近くに今夜の宿泊ホテルがあるんだけれど、始発で帰る早川さんと一緒にいようと覚悟し、ぼんやり時間を過ごしていたら、強烈な睡魔にやられ、横にゴロンとなり、なんだか二人してよく分からなくなったので、早川さんにもう帰ることを伝え、朝の3時過ぎかな、歌舞伎町でやる気の無い客引きを無視してホテルに着いた。
翌日のメールのやり取りがこれです。

小野さん、お疲れ様でした。

> 最後は充電切れて、帰ってしまってごめんなさい。

いやいや、こちらこそ、だらだら飲みに付き合わせてしまって
本当申し訳ない。迷惑だったでしょう。
どうも、スパッと切り上げられないんだよなぁ…。
今朝帰ってくるときに激しい自己嫌悪に陥りました。
すぐにお詫びメール出すつもりが、またPCの電源がいかれて
今さっき、ようやく立ち上がりました。

> 今度は大阪で飲めたら楽しいですよね。

ねぇ、自由軒でカレー食べて、たこ梅でおでん食いましょう。
…いつになることやら。

早川

いつも、メールのたびにやさしくて、僕なんかと一緒に飲んでくれて、感謝しかない。


昨夜深い時間に、下川さんからメールをもらっていたのを、今朝5時20分に拝読。呆然としながら、先輩の結婚式のため準備をしつつ、博多行きの高速バスに乗った。そして、今、高速バスで大分に帰っている途上、これを書いています。気持ちが、結婚式のおかげで、ちょっと落ち着きました。
こういった形で書くべきなのか、どうなのかいいのか悪いのか、色々思ったけれど、南無さんのこのエントリを何度も読み返して、これは僕の中で、ちゃんと早川さんのことについて、それが断片だけであっても書くべきなんだと思ったので書きました。

ついに酒を酌み交わすことが叶わなかった人へ
http://d.hatena.ne.jp/namgen/20111028#1319783949


食えるときに、僕は食って、まだまだ必死に生きていきます。それは、早川さんの教えです。


合掌。
早川さん、小野です。これ、読んでくれてますか。