勇気と想像力、そして少々のお金

きれいごとを言わない、をモットーにしてますが、時折言ってます。

危うい言葉を言い切る強さ

「ほぼ日」の対談企画でテレビプロデューサーの加地さん(アメトーーク!の)と先週までやってたようです。で、読み進めてたら4回目の対談で糸井さんの言葉に「おぉぉ」と唸ったので抜粋。
http://www.1101.com/ametalk/2009-10-23.html

<糸井>
昔は、チームを強くするのは競争させることだ、といわれていました。
<加地>
社内でも競争してるところ、ありましたね。
<糸井>
いまでもほとんどの人がそう思い込んでるんじゃないでしょうか。“競争させると、ひとりずつの力が強まる。そして、ほんとうにつらいときには誰かの力を借りるようにしよう。”「最後の最後に力を借りる」という考え方は理想的です。だけど、当事者にとっては、その意味は「競争」というただそれだけのことになりますよね。
<加地>
そうかもしれないですね。
<糸井>
「ほぼ日」でも、競争はないようにしています。それはぼくが、競争にはいいことがひとつもないと思っているからです。だって、そんなことしたら、みんな「小見出し」で競争をはじめちゃうと思うんですよ。
<加地>
ええ。編成に通るための、「言い方」の競争ですね。

僕はこの発言が「あぁほんと、100%正しいなぁ」と思っているわけじゃなくて、糸井さんは、間違いなく「競争」という行為にまつわる様々な側面(良いこと悪いこと)を承知の上で、その上で「競争にはいいことがひとつもない」と言い切っているように思うんです。傍から見れば糸井さんは間違いなく競争激しいメディア業界内で勝ち残ってきた稀有な人ですからね。で、こういう世間的にはきっと甘っちょろいと思われること、そしてそれぞれの立場で解釈の幅の果てしなく広い言葉をですね、さらっと言い切ってくれることってすごくありがたいなと思うんです。が、きっと確信犯なんですよね。

競争には いいことが ひとつもない

いやいや、ってなりますよね。僕はしばらく立ち止まって、仕事のこと、子育てのこと、等々を頭でめぐらしてました。で、そうかもしれないなぁなんて思ったり、しばらくして思わなかったりするんです。人によっては遺伝子レベルまで遡って競争原理に考えが及んでもおかしくない。そして結局「糸井さん、うまいよなぁ」と感心するんです。

競争することで身に付けてきたものははっきり自覚できそうだけれど、競争してきたことで身に付かなかったことは確認しようもありませんから。
つまり経験則が通用しない。糸井さんってそこを揺さぶってくるんですよね、まったく。